夢から醒めた気がした

 おや/\、俺は今川瀬と、何の話をしてゐたのだつたかな――純吉は、夢から醒めた気がした。(あゝ、さうだつた、俺はさつき好い加減な出たら目を川瀬に話してゐたんだ。)「うむ、書き続ける気だ。」純吉は、意味あり気にうなつた。 実際彼が、さつき川瀬に、小説が書けないで困つたことを材料にした小説を、もう一...

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案外芝居でもないらしく

「僕がね、僕がね……」純吉は、上ツ調子ではあるが、重苦しく妙に吃つて「その僕がね、実は、もう一ト月も前から書きかけて、そして行き悩んでゐる小説といふのが――だ。つまり、その、例の、小説に書くことがなくて閉口してゐることを取材にした小説なんだ。……斯んなことは毛頭云ひたくない、君がさつきからあまり親切...

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文学青年

「小説が書けないで閉口することを小説にした小説が往々あるが、その種の小説程馬鹿/\しい物が、またとあるだらうか!」 純吉は、さつき云はうとしたところに漸く話を戻して、いかにも立派な意見でも吐いたかのやうに重々しく呟いた。「俺はそんな小説は、てんで読んだこともないから知らないがね。」と川瀬は、空々...

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