シリンクスの速力

シリンクスの速力はだんだんにぶくなって、 恥かしいんでございますワ。と叫ぶ声も細くなる。も一寸でペーンがおいつく様になる。小川の岸に来てしまった。[#ここで字下げ終わり][#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]精女 恥かしいんでございますワ!ペーン シリンクス、美くしい![#ここから4字下げ]精女は水煙をたてて川に飛び込む。小さな泡が二つ葦の根にうく。[#ここで字下げ終わり][#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]ペーン オオオ、シリンクス、お前は![#ここから4字下げ]しぼる様な細い声で云う。まわりの葦にひびいて夢の歎きの様な好い音を出す。ペーンはそれをジッとききながら、[#ここで字下げ終わり][#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]ペーン アア、あの響が……シリンクスの姿に似た響があの美くしさのせめてもの形見になるのだ。一生死ぬまでこの響を聞いて居なくっちゃ私はあの美くしかった精女にすまない……[#ここから4字下げ]ペーンは葦を切ってつたでからげてその先に唇をあてて響を出す。[#ここで字下げ終わり]

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