第一の精霊

第一の精霊 とは御相拶な、考える事のなさそうなお身が考えて居るとは、――今のあてものかそれともほかの事かな。第三の精霊 自分の事を考えて居るのじゃ。あてものよりもむずかしいものと見えて、すけをたのみたいほど迷って居るワ。第二の精霊 自分を? 若い人には有り勝な事じゃワ、自分の心を機械《カラクリ》かなんぞの様に解剖《フワケ》をしてあっちこっちからのぞくのじゃ。あげくのはてが自分の心をおもちゃにしてクルリッともんどりうたしてそれを自分でおどろいてそのまんま冥府へにわかじたての居候となり下る。妙なものじゃ。第一の精霊 その様に覚ったことは云わぬものじゃよ。どこの御仁かわしゃ得知らんがあの精女の白鳩の様な足にうなされて三日三小夜まんじりともせなんだ御仁があると風奴がたよりをもて来た。叶う事なりゃ、も十年とびもどりたいと云うてじゃそうな。心あたりはないかな?第二の精霊 もうその先はやめにしよう、陽気のせいか耳がいたむワ。デモナ、口のさきではどうにでも□□[#「□□」に「(二字不明)」の注記]るものじゃ、トックリと胸に手を置いて考えて見なされ、日光《ヒ》にてらされたばかりじゃなくはげた頭が妙に熱うなる骨ばった手がひえて身ぶるいが出る事が必ず有ろうナ。ヘッ罪《ツミ》作りな……第一の精霊 若い人がござるは、年功でもない、一寸はつつしまねばならぬワイ。なんぼ春だと云うて御主のはげはやっぱりかがやいてあるのに、口元に関所を置いてとび出すならずものは遠慮なくからめとる様に手はずをなされ――そう思わぬか?第三の精霊 思うも思わぬもわたしゃそんなひまをもたぬ、考えるにせわしいワ。考えれば考えるほどわかりにくくばかりなる心を新規蒔なおしに考え始めにゃならぬ。第二の精霊 マ、そのまま考えたいなら考えさせて置きなされ、わし等に損は行かぬことじゃ。ところでじゃ、あの精女の姿を思い出して見なされ、思い出すどころかとっくに目先にチラツイてある事じゃろうがマア、そのやせ我まんと云う仮面をぬいで赤裸の心を出さにゃならぬワ、昨日《キノウ》今日知りあった仲ではないに……

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